Column

令和グッズ万歳

先日、クライアントからこんな依頼がありました。メールで書かれていたのは、この一言だけ。

お世話になります。新元号の令和マグカップを作ったのですが、販売していただけますか。画像を添付いたしましたので、ご確認ください。(原文のまま)

こちらが、送られて来た画像3枚のみです。

とりあえず、販売価格と商品サイズだけ確認をとりました。インターネットで、商品を販売するために必要最低限な情報です。

・ 商品の写真
・ 販売価格
・ 商品の実寸
・ 送料


「ううううむ・・・」 

マグの持ち手部分が、微妙に切れているところも、素人の撮影です。被写体のマグカップも、微妙に傾いています。


デザインの考え方

初めこの写真を見たとき、正直(こんなの誰が買うねん)と思いました。

しかし、自分は興味がない商品であっても、情報が全くない商品であっても、デザイナーやディレクターはチームや個人で考え、「付加価値」を生み出さなければなりません。それが、仕事です。

今回は、クライアントから一切のヒントがないので、制作側が全て企画、想定してリリースしなくてはなりません。まず、この商品は、

どんな人が買うだろうか。

と想像します。若い世代の人が、購入する商品ではないですよね。世代的に、「40代後半〜高齢者・そしてその中でも、裕福層向け(好きなものや贈り物に拘りがある・出費を惜しまない年代の人)」と、想定します。そこから、さらに絞り込みます。

・ 元号や日本の歴史を重んじている人。
・ 縁起物グッズが好きな人。
・ 新元号にワクワクしている人。
・ 金文字や赤が好き。
・ コレクター

この商品を買う理由や購入することで、どんなニーズがあるのだろうか。と考えます。
また、この商品は特に「和の心」に、重点が置かれていることに着目します。



・ このマグで、コーヒーを注いで飲むだろうか。
・ 普段使いには、ちょっと考えにくいかも。
・ ギフトや贈り物、贈呈用
・ 贈りたい。貰いたい。
・ 本来のマグカップではなく、インテリア
・ 和室に飾ってもらう。
・ 自分だけのマグ
・ 自慢したい。

・・・_などと考えていきます。企画想定に見合うような素材をピックアップしてみます。

違和感がないかどうかを確認してみます。どうですか?ぴったりでしょう。

そこからさらに、「付加価値」を生み出します。

・ 「プレミア商品・数量限定」
・ 「希少価値」
・ 「オリジナル商品」
・ 「他では買えない」
・ 「新元号記念・今だからこそ」

そうなると、購買意欲をそそるようなキーワードが浮かんできます。


特徴とリサーチ


また、実物を見ていませんので、よくよく「色や形」を知るために、写真を観察します。金文字で、歴代の元号が記されています。これも、商品の特徴ですね。大きさも、たっぷりサイズで迫力があります。赤の筆文字で「令和」が印字されています。これで、「赤」がメインカラーであることをヒントにします。

次に、同じような類似商品があるかどうか、どのように売られているかをリサーチします。同価格帯で、同じような売り方をしているものがあった場合、別の戦略を練る必要があります。そうやって、リリース前に、

しっかり商品やサービスを知り、
リサーチすることが大切です。


画像を加工する

フォトショップを使って、画像を切り抜きます。

想定していた和室の写真と合成させます。
仕上がった広告はこちら。

作っている間に、ちょっと自分も欲しくなってきたりします。(いらないけど笑)

宣伝は、愛である。

プロデュースしているうちに、次第に素晴らしい商品に思えてきます。そこまで、自分の気持ちを保つことも、クリエイターに必要な部分だと考えています。

なぜなら、まず、制作側が素晴らしいと思わないと、プロデュースできないからです。
たとえ初めは、そう思えなくても、自分の中でモチベーションを推移させることが大事です。

お客さんに「いいね!」と思ってもらうには、まず自分自身が「いいでしょう?とても素敵なんです」と、本気で思わないといい宣伝はできません。お客様へオススメするわけですからね。

ですから、できるだけ商品やサービスのいいところや特徴を見つけ、本気で買ってもらいたいという思いで、制作に挑みます。


広告のコツは、
テキストの大きさ・色・配置・余白
目を引くインパクト・特徴をしっかり表現する

遠近法を用いると、奥行き感が表現できます。筆文字などが、似合いそうです。

デザインセンスは、特に必要ではありません。
イラストを、描けなくていいのです。
付加価値を生み出し、
表現することが求められます。


あるある!令和グッズ

調べて見ると、新元号グッズは、山のようにありました。令和ベイベーとか楽しすぎます。令和Tシャツ、お菓子、お酒まであるんですね!(笑)プレミアグッズですから、意外と、売れるような気がします。


令和に込められた思い

今日は、2019年4月30日です。

30年と4ヶ月続いた「平成時代」が終わり、明日から新元号「令和」が始まりますね。

人々が美しく心を寄せ合う中で、
文化が生まれ育つ

一人一人の日本人が明日への希望とともに
それぞれの花を大きく咲かせることができる、
そうした日本でありたい

令和に込められた想いだそうです。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。ではまた!